場所は京都、金属工事の設計施工を行う企業オフィスの計画です。
京都市では100年後の京都の将来を見据えた景観政策が展開され、
計画地においては明治時代から残る京町家も点在し、それら歴史的建造物との調和を目的に「旧市街地型美観地区」に指定されています。
景観条例では歴史的建造物の残る街並みに調和した素材選定の他、3寸以上の勾配を持つ屋根や軒庇、3階以上の壁面後退等の形態制限を求められました。
3階の壁面を後退させることで生じる上下階の柱位置のずれ。
このずれを「張弦梁(ちょうげんばり)」を用いて下階の柱へ受け流すことで、下階の平面に柱が露出する問題を解決しました。
執務空間に連続する「張弦梁」は、自社のもつテクノロジーとそのソリューションを可視化し、社内外へ「理念」を訴求するという役割を担っています。
1Fの軒庇は隣家の庇レベルと揃え、通り景観の連続性を保ち、社員が通勤に使う自転車は建物奥に駐輪スペースを設けることで街並み景観に配慮しました。
駐輪場への通路はアプローチの床タイルを奥まで貼り伸ばし、京町家の奥行きある路地空間を再現しました。
写真:三木 夕渚/ZEROKOBO DESIGN
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