阪南のワーケーション施設は1階が鉄筋コンクリート造、2階が木造の混構造となっています。
先日、工務店さんより大量の施工図が届きました。
これからチェックする施工図は1階部分のコンクリート躯体図や、型枠のパネル割付図です。

構造図、意匠図、設備図全ての図面の情報を統合して、躯体の情報を集約したものがコンクリート躯体図で
梁、柱、壁の種類やその配置高さ、開口の幅や高さ等の情報が平面図で全て把握できるように描かれた図面です。
構造部材や開口部の情報をこのような記号で表記します。

コンクリート躯体図を元に現場では配筋詳細図の作図が行われ、鉄筋が適正なかぶりや鉄筋相互の間隔を保ちながら現場で鉄筋が適正に組まれることができるかを事前に検討しておきます。
例えば鉄筋相互の間隔は粗骨材の最大寸法の1.25倍、鉄筋径の1.5倍、25mm以上の内の最大寸法が確保されていなければいけません。

これら様々なルールを守りつつ適正に鉄筋が組まれ、密実なコンクリートが打設できるような環境整備や下準備を現場監督さんが行い、
私たち設計監理者は提出される施工図や施工計画書が設計品質や意図を正しく反映されたものか否かのチェック、そしてその承認を行います。

施工図も施工計画書も1回で承認されることはほとんど無く、何度かチェックバックを繰り返し承認されて初めて施工者と設計者の意思疎通が図れたということになります。
木造プレカット図、サッシ施工図、浴室タイル割付図、鉄筋工事施工計画書、型枠工事施工計画書、型枠解体工事施工計画書、防水施工計画書・・・
これからもっと多くの図面や書類が提出され、そのチェック承認に追われる日々が続きます。
【施工図チェックに関する記事一覧】
YouTube Room Tour→【Mountain Sea Villa】

【NEWS】
2024/5/9　14年間の改良を重ねてtoolboxさんとの共同開発「天井スリットファン」が発売されました。
2023/8/12　初の著書「建築設計のデジタル道具箱」が学芸出版社より出版されました。

【コンクリート寸法図・断面】
大阪府高槻市の野見神社で計画中のカフェ（喫茶店）。
コンクリート寸法図のチェック修正の真っ最中です。
コンクリート構造の場合、意匠図と構造図の他、設備やサッシ等駆体に取り付くもの全てを確定させて、設計図とは別にコンクリート寸法図を作成します。
これは設計事務所が作成するのではなく、実際の施工を行う施工会社で作成されます。
この図面を作成するにはコンクリート工事だけでなく、型枠・鉄筋・設備等について多くの知識と経験が必要です。
今回のカフェは屋根以外を鉄筋コンクリート造とし、しかも壁のコンクリートは内部も外部も全て現し仕上げ。つまりやり直しがきかない重要な工事です。
また今回はコンクリートの化粧打放しではなく、屋根の木組みの意匠と調和するようコンクリートに木目の転写を行います。

【コンクリート化粧打放し】

【木目転写コンクリート】
写真のような細い板の縦方向の模様をつけるため、その割り付けの施工図も必要となってきます。

【型枠の板割付図】
この他、電気や給排水設備のプロット図との照合も必要となり、今回のように20ｍ2に満たない小規模なプロジェクトであっても、コンクリート寸法図の承認までには約25枚の関連施工図のチェック承認が必要となってきます。
今回の野見神社カフェプロジェクトは高槻市の「White Rose English School」を施工していただいた小阪工務店さんにお願いしています。

【施工図チェックに関する記事一覧】

【野見神社のCAFE　CAFE N+（カフェエヌプラス）】
↓ルームツアーはこちらからご覧いただけます。


【NEWS】
2023/10/1　建築ジャーナル10月号に7作品掲載されました。←NEW！
2023/8/12　初の著書「建築設計のデジタル道具箱」が学芸出版社より出版されました。